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Aさんは相手をルンパッパ1匹まで追い詰めた。しかしAさんのポケモンもブラッキー1匹のみ。
Aさんは負けを確信していたが、それでも勝利を収めることができた。
不思議に思いブラッキーの特性を確認したところ、「せいしんりょく」でなく「シンクロ」。
Aさんはますます首を傾げた。
何が起きたのか。
もくじ
一体この記事は何だろう。
れうにです。最近、トリプルバトル勢向けのウミガメのスープを出題するのにハマっています。
出題する際は、主にTwitterのコミュニティ機能を利用しています↓
https://twitter.com/i/communities/1571884664536834049
非公式に「うにガメのスープ」なんて呼ばれてるのを見かけることもあります。
「ウミガメのスープ」をご存じない方は、検索すると多分どういうものか分かるぞ(要はクイズ)。
この記事では、自分がどのように作問をしているか書き連ねていきます。
主な理由は2つ。
・自分も問題を作ってみたい!という人の参考になるように
・僕自身、自分の思考を確認するため
とはいえ自分で作問したいという人は、まず「ウミガメのスープ 作り方」で検索した方がいいと思います(僕は完全に自己流だけど)。
あとク〇ズノックを見ましょう。
これはずっと文字が続くのがアレだから置かれたゼニガメ
これから問題の作り方を教えてくれるのですか?
はい。順を追って説明していきます。
せっかくなので、僕が作った問題の中でも評判のよかった一問を例にして説明していこうかと思います。
[ルンパッパとブラッキー]
Aさんは相手をルンパッパ1匹まで追い詰めた。しかしAさんのポケモンもブラッキー1匹のみ。
Aさんは負けを確信していたが、それでも勝利を収めることができた。
不思議に思いブラッキーの特性を確認したところ、「せいしんりょく」でなく「シンクロ」。
Aさんはますます首を傾げた。
何が起きたのか。
……という問題は、いかにしてできたのか。
⑴問題のテーマを考えよう
これはテールナー
問題文は無からは生まれません。
どんな物事をテーマにした問題を作るのか、あるいはどんなトリックをテーマにするのか、その第一歩の取っ掛かりを探します。
テーマ作成のキーワードは、「実は」。
・実はトリプルバトルじゃなくてスパトレの問題。
・実は登場人物が勘違いをしている問題。
・実はトレーナー視点と思わせてポケモン視点の問題。
こういった、最初に「実は」の付くようなテーマを見つけ出します。
何故なら、ウミガメのスープを解く面白さが「実は」にあるからです。
一見奇妙な問題文が、質問と回答の過程で、ああ実はこういうことだったんだと腑に落ちる。
それこそがウミガメの面白さ。だから問題を作るときもまず、「実は」を見つけるところから始めましょう。
では例題で採用したテーマは何かと言えば、「実は登場人物が勘違いをしている」です。
⑵ネタを書き出していく
どんどん書いちゃえ
テーマに沿ったネタを思い付いたままに書き出していきましょう。
例題で言えば、まずはどんな勘違いをするのか決めるのが先決です。
攻略サイトを見つつ、ネタになりそうなことを闇雲に書き出します。
(例)
あるポケモンの名前を別のポケモンの名前と勘違いする?←ポケモントレーナーならそんな勘違いしない。
特性?技?道具?仕様の勘違い?名前の勘違い?
名前の勘違い→するどいツメ(急所)とするどいキバ(ひるみ)!!
ざっくりこんな感じのメモを取っていきます(実際はもっと大量に書いては消す)。
「名前の勘違い」「道具」を結び付けて、するどいツメとするどいキバとを勘違いするテーマを見つけたようですね。
実際、これら2つのもちものの効果を取り違える事象は頻発する(ことだと思う)ので、いい具合の問題ができそうな匂いがしますね。
⑶問題文を書く
こっからが楽しいんだ
いよいよ問題文の内容を考えていきましょう。
今回は、「するどいツメとするどいキバを間違えるシチュエーション」を考えます。
この内容は解答でもありますね。
ウミガメの問題文を考えるということは、すなわち解答を考えることです。
当然のことなのでしいて意識する必要はありませんが、問題と解答は同時に頭の中に書き出されていきます。
問題文の条件
さて、「するどいツメとするどいキバを間違えるシチュエーション」で、なおかつ面白い問題になる事象の条件とは。
ざっくりこの2つでしょう。
条件① するどいツメもしくはするどいキバを持っておかしくないポケモン・パーティが問題に出てくる。
条件② するどいツメとするどいキバを勘違いしたことで、何か特徴的な事象が発生する。
面白い問題になる条件の1つが、解答を聞いたときの納得感です。
解答で、「実はするどいツメと間違えて、するどいキバをニンフィアに持たせていた」などと言われても納得できません。
ニンフィアはするどいツメも、するどいキバも持たないからです。
だから条件①「するどいツメもしくはするどいキバを持っておかしくないポケモン・パーティが問題に出てくる。」が必要になります。
←納得できない
また、面白い問題になる条件の1つは問題文の不思議感です。
ウミガメの本質はミステリーです。
謎めいた問題文だからこそ、解き明かしたいという気持ちになります。
そしてもう1つが、問題文に解答に繋がる要素が余さず書かれていることです。
これはさっきも言った条件、解答を聞いたときの納得感と同じことですね。
解答を知って、問題文をもう一度見返したとき、「はじめ見たときは意味不明の文章だったのに、ただ解答通りのことが書かれているだけじゃないか」と気付くこと。
そして、「確かにこの解答通りただ1つにしかならないじゃないか」と分かること。
そういう問題に書き上がること。
そのために、「条件② するどいツメとするどいキバを勘違いしたことで、何か特徴的な事象が発生する。」が必要です。
こういった条件を踏まえて、作問をしていきましょう。
条件に合う物事を見つけよう
さて、条件①について。
トリプルバトルにおいて、するどいツメとするどいキバを持たせ間違えうるポケモンに、1匹心当たりがありました。
ルンパッパです。
←納得できる
ルンパッパは、するどいキバあるいはおうじゃのしるしを持つことがあります。
すいすい込みの高い素早さから「なげつける」を放ち、投げたするどいキバorおうじゃのしるしによって相手を怯ませることができるからです。
主に雨滅びパーティで使われる戦法ですね。
相手の行動を阻害し、ほろびのうたのカウントを稼ぎます。
条件①に合致するポケモン・パーティが見つかりました。
条件②について。
ルンパッパが道具を間違えたことで、どんな事象が発生するのか。
まず、手前側のプレイヤーが道具の勘違いをしたとしましょう。
「自分のルンパッパがするどいツメを投げつけたところ、何故か相手が怯まなかった。」
これでは、手前側がすぐ道具のミスに気が付いておしまいです。
面白くなりません。
次に奥側のパーティが道具の勘違いをしていたら。
「相手のルンパッパがするどいツメを投げつけてきたが、当然こちらのポケモンは怯まなかった。」
奥側がミスっちゃったんだなあと思うだけでおしまいです。
やっぱり面白くありません。
では、手前と奥の両方が勘違いをしていたとしたらどうか。
「相手のルンパッパがするどいツメを投げつけてきたが、こちらのポケモンが何故か怯まなかった。」
複雑な状況が発生しました。
手前側はすぐに状況が理解できません。
勘違いをしていることに即座に気が付くことができないかもしれません。
(あれ?こっちのポケモンってせいしんりょくだったっけ?)などという、見当外れの方向に考えが向かう可能性も出てきます。
……問題の匂いが強くなってきましたね。
ここでまた新たなポケモンを考える必要が出てきました。
(あれ?こっちのポケモンってせいしんりょくだったっけ?)とプレイヤーが思う可能性のあるポケモンです。
つまり、①トリプルバトルで見かけるポケモンのうち、②特性にせいしんりょくとそれ以外のものがあり、③せいしんりょく以外を採用することがあり、④ルンパッパにするどいキバを投げつけられる可能性があるポケモンです。
ちゃんと納得感のあるポケモンを見つけましょう。
←納得できない
ポケ徹を利用して調べたところ、いい感じのポケモンが見つかりました。
ブラッキーです。(何かちょうどブイズだ……)
←納得できる
ブラッキーが適している理由はこちら。
①トリプルバトルで見かける。
②通常特性がシンクロ、隠れ特性がせいしんりょくである。
③せいしんりょくが必ずしも採用理由にならない+メス率が低く、厳選難易度が若干高い=シンクロで妥協する場合がある。
④耐久が高いからちょっと攻撃しただけでは倒せない=ルンパッパがするどいキバを投げつけてきて、滅びで倒すことを狙ってくる可能性が高い。
登場するポケモンが定まりましたね!!
さあ、条件②の答えはほとんど出ていますね。
ルンパッパが誤ってするどいキバでなくするどいツメを投げつけて発生する特徴的な事象。
それは、ブラッキーがするどいツメを投げつけられても怯まなかったことを不思議に思ったプレイヤーが、(あれ?うちのブラッキーってシンクロのはずだけどせいしんりょくだったっけ?)とさらなる不思議の沼にはまってしまうことです。
このうち、(あれ?うちのブラッキーってシンクロのはずだけどせいしんりょくだったっけ?)について。
こんな思考が発生するような事象は、しっかり問題文を書いている限り、僕が考えたただ一つの解答以外ありえない、不思議な事象にきっとなることでしょう。
条件②、達成です。
いよいよ問題文を書く
いっぱい書いちゃえ
ここまで道筋が整ったら、いくらでも問題文を書くことができるようになりました。
いくらでも文章を書いては消し書いては消し、問題の形を作り上げます。
闇雲にメモを取るようにやっていきましょう。
(例)
相手のルンパッパが何かを投げつけてきたところ、←ヒント多すぎ
Aさんはブラッキーの特性を確認した。
一対一の状況の方が、他のポケモンの介入がなくて分かりやすい。
滅びであることが分かる状況→怯まされて滅ぼされることで負けを確信していた?
相手の持ち物をおみとおししているから負けを確信してる?でも怯まなかったから勝った。
こんな感じの雑なメモを書いていったら、最終的にできあがる問題文がこれです。
Aさんは相手をルンパッパ1匹まで追い詰めた。しかしAさんのポケモンもブラッキー1匹のみ。
Aさんは負けを確信していたが、それでも勝利を収めることができた。
不思議に思いブラッキーの特性を確認したところ、「せいしんりょく」でなく「シンクロ」。
Aさんはますます首を傾げた。
何が起きたのか。
いい感じの問題文ができました!!
Twitterの文字数制限もあって、おみとおしについて割愛されてますがそこは仕方ない。
とはいえ、問題文をためしに書いてみるのはこれまでのステップの中のいつやっても構いません。
テーマが定まった時点で、あるいはルンパッパのなげつけるを思い付いた時点で、ちょろっと書けそうなところを書いてみたりしてもいいでしょう。そこら辺は柔軟に。
⑷問題文を見直す
見直しも大事
できあがった問題を、落ち着いた状態で見返します。
見るべきは大きく分けて4つ。
①文章に面白みを感じるか。
②答えが一意に定まっているか。
③出題者が勘違いをしていないか。
④本当にトリプル勢向けか。
①文章に面白みを感じるか。
これは問題が面白くなる条件の1つ、問題文の不思議感のことですね。
不思議な文章であればあるほど、面白みは増します。
解答から外れない範囲で、一方ヒントになりすぎない範囲で、できるだけ謎めいた文章を作り上げましょう。
「Aさんは負けを確信していたが、それでも勝利を収めることができた。」
例題のこの一文は、問題に不思議感をさらに加える要素ですね。
②答えが一意に定まっているか。
これは問題が面白くなる条件のもう1つ、解答を聞いたときの納得感に深く関わるものでしたね。
問題文にツッコミを入れるように、「本当に答えはそれだけか」「こういう解答は考えられないか」「こんな解答でも別に構わないじゃないか。解く気が湧かない。」などと鋭い目線を向けましょう。
例題がもしこんな問題だったら。
Aさんは相手をルンパッパ1匹まで追い詰めた。しかしAさんのポケモンもブラッキー1匹のみ。
Aさんは負けを確信していたが、それでも勝利を収めることができた。
何が起きたのか。
一気に面白さが消滅しました。
ありとあらゆる解答が考えられるからです。
いくらするどいツメとするどいキバの勘違いという面白い解答が出題者の脳内にあっても、答えがそれただ1つにならなければ話になりません。
辛うじて、「ルンパッパとブラッキーがいるってことはこういう答えになるのが面白いよね」と主張できるのみです。
ああ君の脳内ではそんな複雑な考えがあったんだねと褒められるのみです――何一つ面白くありません。
どんな回答者よりも厳しい目を、出題者自身が向けましょう。
③出題者が勘違いをしていないか。
クイズには裏取りが必要です。
問題に不備がないかしっかり確認しましょう。
ポケ徹やポケモンwiki、あるいはブログや攻略本などの必要なページをしっかり読み込むこと。
可能なら自分の手元で確認すること。
怠らないようにしましょう。
④本当にトリプル勢向けか。
故に、トリプルバトルに関連する問題になっているか。
あるいはトリプルバトル勢を騙すための問題になっているかを確認します。
場合によっては、シングルバトルでも構わないような問題ができてしまうこともあります。
そういうときはどうやったらトリプルらしくなるか考えて、作り直しですね。
⑸解答を書く
最後の仕上げ
解答を書きましょう。
ゲーム終了後、回答者に解答を見せることがクイズの完成になります。
解答を書くこと自体は簡単です。
何故なら問題を作ると同時に、解答もまた作られてきたはずだからです。
丁寧に今までのことを振り返り、必要なことを余さず書きましょう。
今回は以下のようになりました。
(ルールは通常のトリプルバトル。)
Aさんのポケモンの中には特性「おみとおし」のポケモンがいて、ルンパッパが「するどいツメ」を持っていることを知っていた。ルンパッパは「ねこだまし」はもう撃てないが、「するどいツメ」を技「なげつける」で投げつけることでブラッキーを怯ませることができるはず。相手はブラッキーに誰かで「ねこだまし」を撃った、あるいは誰かの「いわなだれ」で怯ませた、といった理由でブラッキーが「せいしんりょく」でないことが分かってしまっている。
ブラッキーは「ほろびのうた」状態だがルンパッパは「ほろびのうた」状態でないので、相手が「ほろびのうた」で先に倒れることには期待できない。
ブラッキーの厳選を妥協して「せいしんりょく」にしなかったせいで、怯まされた挙句「ほろびのうた」で倒されて負けてしまう。Aさんはそう誤解していた。
思った通りルンパッパは「するどいツメ」を投げ付けてきたが、ブラッキーは怯むことなくHP僅かのルンパッパを攻撃して返り討ちにできた。結果的にAさんは勝利する。
勝てた理由の分からないAさんは念のためブラッキーの特性を確認したが、やはり「せいしんりょく」でなく「シンクロ」。Aさんはますます首を傾げる。
実は「するどいツメ」を投げ付けても相手を怯ませる効果はない。その効果があるのは「するどいキバ」である。Aさんと対戦相手の両方が、道具の効果を勘違いしていたのだった。
ほとんど今までの流れの中で書いてあったことですね。
赤字の部分については、問題文や解答を作るうちに必要だと気が付いた要素です。
まず、せいしんりょくの可能性のあるブラッキーをなげつけるで怯ませようとするということは、それ以前にせいしんりょくでないことがバレていると考えた方が自然です。
またブラッキーの攻撃性能は低いので、ルンパッパのHPが削れていたと考えた方がやはり自然です。
繰り返しますが、解答を作ることはすなわち問題を作ることにほかなりません。
解答を書いているうちに、問題をもっとよくする方法に気が付くことは多々あります。
出題する前に、必ず解答をじっくりと作りましょう。
解答を作ることが必須な理由はもう1つ。
ゲームのスムーズな進行のためです。
質問に素早く正確に回答するためには、緻密な解答を用意しておくのが一番有効です。
当然のことですね。
はい。これで終わりです。
画像貼るの楽しくなってきちゃった
というわけで、僕の問題の作り方はおおよそこんな感じです。
SVが発売したら出題自体一旦やめるつもりです。
この記事が他の誰かや後の僕の助けになればと願っています。
以上、ヌルっと終わります……。